刺胞動物門(Cnidaria)

目レベルの分類(Orders)


Phylum
亜門
Subphylum

Class
亜綱
Subclass

Order
刺胞動物門
Cnidaria
花虫亜門
Anthozoa
花虫綱
Anthozoa
八放珊瑚亜綱
Octocorallia
青珊瑚(アオサンゴ)目
Helioporacea
海鶏頭(ウミトサカ)目
Alcyonacea
海鰓(ウミエラ)目
Pennatulacea
六放珊瑚亜綱
Hexacorallia
磯巾着(イソギンチャク)目
Actiniaria
石珊瑚(イシサンゴ)目
Scleractinia
骨無珊瑚(ホネナシサンゴ)目
Corallimorpharia
砂巾着(スナギンチャク)目
Zoanthidea
角珊瑚(ツノサンゴ)目
Antipatharia
花巾着(ハナギンチャク)目
Ceriantharia
水母亜門
Medusozoa
ヒドロ虫綱
Hydrozoa
ヒドロ虫亜綱
Hydroidolina
レプトテカータ(軟クラゲ)目
Leptothecata
管水母(管クラゲ)目
Siphonophorae
アントアテカータ(花クラゲ)目
Anthoathecata
硬水母亜綱
Trachylina
アクチヌラ目
Actinulida
硬水母(硬クラゲ)目
Trachymedusae
剛水母(剛クラゲ)目
Narcomedusae
レングクラゲ目
Laingiomedusae
淡水水母(淡水クラゲ)目
Limnomedusae
箱虫綱
Cubozoa
アンドンクラゲ目
Carybdeida
ネッタイアンドンクラゲ目
Chirodropida
鉢虫綱
Scyphozoa
冠水母(冠クラゲ)目
Coronatae
根口水母(根口クラゲ)目
Rhizostomeae
旗口水母(旗口クラゲ)目
Semaeostomeae
十文字水母綱
Staurozoa
十文字水母(十文字クラゲ)目
Stauromedusae
ポリポディウム綱
Polypodiozoa
ポリポディウム目
Polypodiidea
ミクソゾア亜門
Myxozoa
粘液胞子虫綱
Myxosporea
双殻目
Bivalvulida
多殻目
Multivalvulida
軟胞子虫綱
Malacosporea
軟殻目
Malacovalvulida


分類表更新:2017年11月(2019年11月改訂)


ヒドラ亜界(Subkingdom Hydrobiotina)
= 刺胞動物門(Phylum Cnidaria)

サンゴ、イソギンチャク、クラゲなどの仲間です(クシクラゲの仲間は有櫛動物門(Phylum Ctenophora)という別のグループに所属します)。

刺胞と呼ばれる毒針を持つ細胞を持つのが最大の特徴です(有櫛動物門はこれを持ちません)。クラゲ型(漂泳型)とポリプ型(付着型)という2つの生活様式を持つ種が多いです。

放射相称、二胚葉性(左右相称動物は三胚葉性)、体腔がなく、口が肛門を兼ねているなど有櫛動物門と共通の特徴があるため、かつては両者を腔腸動物門(Phylum Coelenterata)と呼んでいました。

現在では刺胞動物門と有櫛動物門は単系統を成さない解析結果が出ているため、両者は別門として分類するようになっています。

刺胞動物門の内部分類ですが、ミクソゾアの仲間を含めて3亜門8綱とされます。

花虫亜門(Subphylum Anthozoa)
= 花虫綱(Class Anthozoa)

サンゴ、イソギンチャク、スナギンチャク、ハナギンチャク、ウミエラなどの仲間です。クラゲの形態を経ず、一生をポリプの形態で過ごすのが特徴です。2亜綱9目から成ります。

イソギンチャクはその触手で主に魚などを食べ、サンゴとは異なり硬い骨格を発達させません。クマノミやヤドカリなどとの共生を行う種がいることで有名です。

サンゴは硬い骨格を発達させ、主にプランクトンを食べ、ある種は藻類と共生関係にあります。一部の種は宝石として利用されています。

サンゴ礁を形成するものは、熱帯の海の生態系にとって欠かせないものとなっていますが、最近の環境破壊などで減少傾向にあり、問題となっています。

なおサンゴの仲間は花虫綱内の複数の目に分散して分類されています(青珊瑚(アオサンゴ)目、海鶏頭(ウミトサカ)目、石珊瑚(イシサンゴ)目、骨無珊瑚(ホネナシサンゴ)目、角珊瑚(ツノサンゴ)目)。

水母亜門(Subphylum Medusozoa)

水母(クラゲ)亜門。いわゆるクラゲの仲間です。大半の種はクラゲの形態とポリプの形態の両方を持ちますが、一部の種はどちらかのみを持ちます。

5綱から成ります。但しチョウザメの卵に寄生することで知られるポリポディウム綱(Polypodiozoa)はミクソゾア亜門の方により近縁である可能性もあり、まだ結論は出ていません。

ヒドロ虫綱(Class Hydrozoa)

ヒドラ、オワンクラゲ、マミズクラゲ、カツオノエボシなどの仲間です。このグループのポリプ形態のことをヒドロ虫と呼びます。2亜綱8目から成ります。

刺胞動物門の中では比較的単純な構造を持っています。ヒドラのように一生をポリプとして過ごす種やカツオノエボシのように群体を作る種など形態は多様です。

箱虫綱(Class Cubozoa)

アンドンクラゲ、ハブクラゲ、オーストラリアウンバチクラゲなどの仲間です。箱のような形状の傘を持っており、箱クラゲ、立方クラゲとも呼ばれます。2目から成ります。

このグループは特に強い毒を持つ種が多いことで知られており、ハブクラゲやイルカンジクラゲなどは毒クラゲと恐れられています。特にオーストラリアウンバチクラゲの毒は強烈で、殺人クラゲとも呼ばれています。

鉢虫綱(Class Scyphozoa)

ミズクラゲ、アカクラゲ、タコクラゲ、ビゼンクラゲ、エチゼンクラゲなどの仲間です。典型的なクラゲの仲間です。3目から成ります。

このグループのポリプ形態は鉢ポリプと呼ばれます。一部の種(ビゼンクラゲ、エチゼンクラゲなど)は食材としても利用されます。

ミクソゾア亜門(Subphylum Myxozoa)

粘液胞子虫、軟胞子虫の仲間です。魚類、環形動物、コケムシ(外肛動物)に感染する寄生虫です。2綱3目から成ります。

単細胞であるため(但し胞子は多細胞)、かつては原生生物と思われていましたが、分子系統解析の結果、後生動物の仲間だと認められるようになっています。

但し、どの動物門に近い仲間なのかについては複数の説があります(寄生性の生物であるため、進化速度が速く、長枝誘因(Long Branch Artifact)が起こりやすいことから、系統関係が分かりにくい)。

極嚢(きょくのう)(polar capsule)と呼ばれる構造を持っており、これが刺胞動物門の持つ刺胞に似ているため、寄生に特化した刺胞動物である説が有力になっています。

独立門(ミクソゾア門)とすることもありますが、当サイトでは刺胞動物門の1亜門と位置付けています(姉妹群は水母亜門である説が有力)。

なお、ヘネガヤ・サルミンコーラ(Henneguya salminicola または H. zschokkei)は酸素を呼吸しない唯一の動物であると、最近(2020年)報告されています。


解説文更新:2019年11月15日(2021年03月27日改訂)

参考




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