軟体動物門(Mollusca)

目レベルの分類(Orders)


Phylum
亜門
Subphylum

Class
亜綱
Subclass
下綱
Infraclass

Cohort
亜区
Subcohort
上目
Superorder

Order
軟体動物門
Mollusca







































軟体動物門
Mollusca







































軟体動物門
Mollusca
有棘類
Aculifera
溝腹綱
Solenogastres
フォリドスケピア目
Pholidoskepia
ネオメニアモルファ目
Neomeniamorpha
ステルロフスティア目
Sterrofustia
カヴィベロニア目
Cavibelonia
尾腔綱
Caudofoveata
ケハダウミヒモ目
Chaetodermomorpha
多板綱
Polyplacophora
新ヒザラガイ亜綱
Neoloricata
サメハダヒザラガイ目
Lepidopleurida
クサズリガイ目
Chitonida
貝殻亜門
Conchifera





































貝殻亜門
Conchifera





































貝殻亜門
Conchifera
単板綱
Monoplacophora
ネオピリナ目
Tryblidiida
二枚貝綱
Bivalvia
古多歯亜綱
Palaeotaxodonta
クルミガイ目
Nuculoida
隠歯亜綱
Cryptodonta
キヌタレガイ目
Solemyoida
所属不明
incertae sedis
ロウバイガイ目
Nuculanoida
翼形亜綱
Pteriomorphia

フネガイ目
Arcoida
イガイ目
Mytiloida
真翼形上目
Eupteriomorpha
ウグイスガイ目(カキ目)
Pterioida(Ostreoida)
イタヤガイ目
Pectinoida
古異歯亜綱
Palaeoheterodonta
イシガイ目
Unionoida
サンカクガイ目
Trigonioida
異歯亜綱
Heterodonta
原始異歯上目
Archiheterodonta
トマヤガイ目
Carditoida
真異歯上目
Euheterodonta
新異歯目
Neoheterodontei
異靱帯目
Anomalodesmata
所属不明
incertae sedis
掘足綱
Scaphopoda
ツノガイ目
Dentaliida
クチキレツノガイ目
Gadilida
腹足綱
Gastropoda


































腹足綱
Gastropoda
笠型腹足亜綱
Patellogastropoda
カサガイ目
Patellida
ネオンファルス亜綱
Neomphaliones
ネオンファルス目
Neomphalida
ワタゾコシロガサ目
Cocculinida
古腹足亜綱
Vetigastropoda
ウロダマヤドリガイ目
Lepetellida
オキナエビスガイ目
Pleurotomariida
ホウシュエビス目
Seguenziida
ニシキウズ目
Trochida
アマオブネ型亜綱
Neritimorpha
Cycloneritida目
Cycloneritida
新生腹足亜綱
Caenogastropoda
原始紐舌目
Architaenioglossa
タマキビガイ目
Littorinimorpha
新腹足目
Neogastropoda
吸腔目
Sorbeoconcha
異鰓亜綱
Heterobranchia
低位異鰓下綱
Lower Heterobranchia
所属不明
incertae sedis
Euthyneura下綱
Euthyneura
オオシイノミガイ区
Acteonimorpha
所属不明
incertae sedis
マメウラシマ側区
Ringipleura
裸側上目
Nudipleura
裸鰓目
Nudibranchia
側鰓目(フシエラガイ目)
Pleurobranchida
マメウラシマ上目
Ringiculimorpha
マメウラシマガイ目
Ringiculida
被側区
Tectipleura
真後鰓亜区
Euopisthobranchia
無楯目(アメフラシ目)
Anaspidea(Aplysiida)
頭楯目
Cephalaspidea
翼足目
Pteropoda
ウズムシウミウシ目
Runcinacea
Tectibranchiata目
Tectibranchiata
傘殻目(ヒトエガイ目)
Umbraculida
汎有肺亜区
Panpulmonata
Acochlidiimorpha上目
Acochlidiimorpha
所属不明
incertae sedis
真有肺上目
Eupulmonata
オカミミガイ目
Ellobiida
柄眼目
Stylommatophora
収眼目
Systellommatophora
水棲上目
Hygrophila
所属不明
incertae sedis
Pylopulmonata上目
Pylopulmonata
所属不明
incertae sedis
嚢舌上目
Sacoglossa
所属不明
incertae sedis
コウダカカラマツ上目
Siphonarimorpha
コウダカカラマツ目
Siphonariida
頭足綱
Cephalopoda
オウムガイ亜綱
Nautiloidea
オウムガイ目
Nautilida
鞘形亜綱
Coleoidea

八腕目(タコ目)
Octopoda
コウモリダコ目
Vampyromorphida
十腕形上目
Decapodiformes
開眼目(スルメイカ目)
Oegopsida
閉眼目(ヤリイカ目)
Myopsida
コウイカ目
Sepiida
トグロコウイカ目
Spirulida
ダンゴイカ目
Sepiolida


分類表更新:2017年11月(2019年12月改訂)


軟体動物門(Phylum Mollusca)

イカ、タコ、貝類(アサリ、シジミ、サザエ、ハマグリなど)、カタツムリ、ナメクジ、ウミウシなどの仲間です。

その名の通り骨格を持たず体が軟らかいのが特徴です。貝殻を持つ種が多いですが、貝殻を持たない種も存在します。

腕足動物門、紐形動物門、環形動物門とともに担輪動物(Trochozoa)を構成すると考えられています。

いくつかの原始的な種を除く大半の種が貝殻亜門(Conchifera)に所属します。

有棘類(Aculifera)[側系統群?][単系統群?]

溝腹綱、尾腔綱、多板綱の3綱から成ります。軟体動物門の中では原始的な特徴を持っています。

側系統群である説と、単系統群(有棘類(Aculifera))である説の両方が存在します。単系統群である場合、姉妹群は貝殻亜門(Conchifera)です。

単系統群である場合の内部分類は以下の説が有力です。

溝腹綱(Class Solenogastres)

サンゴノフトヒモ、カセミミズなどの仲間です。4目から成ります。腹に溝があることから溝腹綱と呼ばれます。

殻を持たず、軟体動物の中では原始的なグループとされます。

尾腔綱とは姉妹群であると推測され、両者を合わせて無板類(Aplacophora)と呼ばれます。

尾腔綱(Class Caudofoveata)

ケハダウミヒモの仲間です。ケハダウミヒモ目1目のみから成ります。

殻を持たず、軟体動物の中では原始的なグループとされます。

溝腹綱とは姉妹群であると推測され、両者を合わせて無板類(Aplacophora)と呼ばれます。

多板綱(Class Polyplacophora)

ヒザラガイ、サメハダヒザラガイ、クサズリガイなどの仲間です。2目から成ります。

多数の殻を背面に並べていることから多板綱と呼ばれます。軟体動物の中では原始的なグループとされます。

姉妹群は無板類である説と貝殻亜門である説があり、姉妹群が無板類である場合は有棘類が単系統群になります。

貝殻亜門(Subphylum Conchifera)

イカ、タコ、貝類(アサリ、シジミ、サザエ、ハマグリなど)、カタツムリ、ナメクジ、ウミウシなどの仲間です。5綱から成ります。

貝殻を持っているのが特徴です(二次的に貝殻を失った種も存在します)。

軟体動物門の中では進化的なグループとされます。馴染み深い軟体動物のほとんどが所属します。

単板綱(Class Monoplacophora)

ネオピリナの仲間です。ネオピリナ目1目のみから成ります。一枚の殻を持っていることから単板綱と呼ばれます。

深海底に生息しています。貝殻亜門の中ではいち早く分岐したと推測されています。

二枚貝綱(Class Bivalvia)

貝類のうち、二枚の貝殻に包まれている、いわゆる二枚貝の仲間です。食材として有名な種が多く存在します。

アサリ、シジミ、ハマグリ、ホタテガイ、カキ(牡蠣)、イガイ(ムールガイ)などが有名です。

内部分類として以下のような説が知られています。亜綱階級では「歯(-donta)」の分類名が多く見られますが、二枚貝の蝶番の歯の形状をした部分(鉸歯(こうし)(hinge teeth))の特徴によるものです。

翼形亜綱(Subclass Pteriomorphia)

ホタテガイ、カキ(牡蠣)、イガイ(ムールガイ)、アコヤガイなどの仲間です。貝殻が鳥の翼を広げたような形をしていることからこの名が付いています。

ホタテガイ、カキ(牡蠣)、イガイ(ムールガイ)などは食用として有名です。アコヤガイは真珠の生産に利用されています。

異歯亜綱(Subclass Heterodonta)

アサリ、シジミ、ハマグリ、フナクイムシなどの仲間です。鉸歯(こうし)の形状が主歯と側歯で異なることからこの名が付いています。

アサリ、シジミ、ハマグリなどは食用として有名です。フナクイムシは木の船底に穴を空けてしまうことから害虫扱いされていますが、その生態からトンネルを掘るのに有名なシールド工法が発明されています。

掘足綱(Class Scaphopoda)

ツノガイの仲間です。2目から成ります。牛の角のような形状をした殻が特徴です。

腹足綱(Class Gastropoda)

巻貝(サザエ、アワビ(ミミガイ)、タニシ、ホラガイ、カタツムリなど)、ナメクジ、ウミウシ、クリオネなどの仲間です。

腹部から足が生えているため腹足綱と呼ばれます。基本的に巻貝を持ちますが、貝殻を失った種も多いです。

内部分類は2019年現在定まっておらず、参考文献によって異なります。当サイトでは[WoRMS (2019)]に従い、6亜綱を認めます。

異鰓亜綱(Subclass Heterobranchia)

カタツムリ、ナメクジ、ウミウシ、クリオネなどの仲間です。腹足綱の亜綱の中で最も多様性に富んでいます。

一部の種(カタツムリ(デンデンムシ、マイマイ)、ナメクジなど)は肺を持ち、陸上で生活しています。

ウミウシと呼ばれる生物は異鰓亜綱の中で殻を失った種の総称(但し一般的にクリオネやナメクジなどは含めない場合が多い)で、このグループの系統のあちこちに存在しています。

クリオネ(ハダカカメガイ)はその美しい姿から、「流氷の天使」「氷の妖精」などと呼ばれ人気があります(捕食する時のグロテスクな姿も含めて)。

ミドリガイの仲間のウミウシには、緑藻を食べてその葉緑体を細胞内で一定期間維持し、光合成をさせる盗葉緑体(クレプトクロロプラスト, Kleptochloroplast)現象をするものがいることが知られています。

頭足綱(Class Cephalopoda)

オウムガイ、タコ、コウモリダコ、イカの仲間です。現生種はオウムガイ亜綱と鞘形亜綱の2亜綱から成ります。

頭部から足が生えているため頭足綱と呼ばれます。オウムガイの仲間を除いて、殻の退化した種が多いです。

過去(中生代)に繁栄し、現在では絶滅しているアンモナイトも頭足綱に含まれます。

オウムガイ亜綱(Subclass Nautiloidea)

四鰓亜綱(Tetrabranchia)とも。オウムガイの仲間です。オウムガイ目1目のみから成ります。アンモナイトに似た形状の殻をよく発達させています。

頭足綱の中では比較的寿命が長いです(約10~20年)。日本語名は殻の形状がオウムの(くちばし)に似ていることから名付けられました。

英名はノーチラス(Nautilus)です。殻の空洞部分にガスが入っており、浮力を得る方法が潜水艦と同様であるため、ジュール・ヴェルヌの小説「海底二万里」に登場する潜水艦の名前に使われています。

鞘形亜綱(Subclass Coleoidea)

二鰓亜綱(Dibranchia)とも。タコ、コウモリダコ、イカの仲間です。分類方法によって変動しますが、5~7目程度から成ります。当サイトでは7目を認めます。

運動能力に優れ、目もよく発達しています。殻は退化して消失しているか、体内に収まっています。寿命が短く、一年~数年程度です。

タコやイカは食材としても有名です。八本(タコ)ないし十本(イカ)の足を持ちます。イカの足がタコより二本多いのは触腕があるためです。

ダイオウイカやダイオウホウズキイカは世界最大級の無脊椎動物として有名です。

過去(中生代)に繁栄し、現在では絶滅しているベレムナイトも鞘形亜綱に含まれます。


解説文更新:2019年12月30日

参考




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