イヌ科(Canidae)

種レベルの分類(亜種は著名なもののみ)(Species)


Family

Tribe
亜族
Subtribe

Genus

Species
亜種
Subspecies
イヌ科
Canidae







































イヌ科
Canidae
ハイイロギツネ族[1]
Urocyonini
ハイイロギツネ属
Urocyon
ハイイロギツネ
U. cinereoargenteus
シマハイイロギツネ
U. littoralis
キツネ族[2]
Vulpini
オオミミギツネ属
Otocyon
オオミミギツネ
O. megalotis
タヌキ属
Nyctereutes
タヌキ
N. procyonoides


ホンドタヌキ
N. p. viverrinus
キツネ属
Vulpes
ブランフォードギツネ
V. cana
フェネック
V. zerda
ケープギツネ
V. chama
ホッキョクギツネ
V. lagopus
キットギツネ
V. macrotis
コサックギツネ
V. corsac
チベットスナギツネ
V. ferrilata
オジロスナギツネ
V. rueppelli
アカギツネ
V. vulpes

ホンドギツネ
V. v. japonica
キタキツネ
V. v. schrencki
ギンギツネ
V. v. fulvus
ベンガルギツネ
V. bengalensis
オグロスナギツネ
V. pallida
スウィフトギツネ
V. velox
イヌ族
Canini
カニクイイヌ亜族[3]
Cerdocyonina
タテガミオオカミ属
Chrysocyon
タテガミオオカミ
C. brachyurus
ヤブイヌ属
Speothos
ヤブイヌ
S. venaticus
コミミイヌ属
Atelocynus
コミミイヌ
A. microtis
カニクイイヌ属
Cerdocyon
カニクイイヌ
C. thous
スジオイヌ(クルペオギツネ)属
Lycalopex
スジオイヌ
L. vetulus
ダーウィンギツネ
L. fulvipes
クルペオギツネ
L. culpaeus
セチュラギツネ
L. sechurae
チコハイイロギツネ
L. griseus
パンパスギツネ
L. gymnocercus
イヌ亜族[4]
Canina
リカオン属
Lycaon
リカオン
L. pictus
ドール属
Cuon
ドール
C. alpinus
イヌ属
Canis
ヨコスジジャッカル
C. adustus
セグロジャッカル
C. mesomelas
キンイロジャッカル
C. aureus
アビシニアジャッカル
C. simensis
アフリカンゴールデンウルフ
C. anthus
コヨーテ
C. latrans
アメリカアカオオカミ
C. rufus
イースタンウルフ
C. lycaon
タイリクオオカミ
C. lupus

ホッキョクオオカミ
C. l. arctos
ディンゴ
C. l. dingo
イエイヌ
C. l. familiaris


分類表更新:2018年08月


  1. ^ ハイイロギツネ・クレード(gray and Island fox clade)
  2. ^ アカギツネ型クレード(red-fox-like clade)
  3. ^ 南米クレード(South American clade)
  4. ^ オオカミ型クレード(wolf-like clade)


イヌ科(Family Canidae)

イヌ、オオカミ、キツネ、タヌキなどの仲間です。姉妹群はクマ下目(Arctoidea)です。

雑食寄りの食性を持つ種が多いです。狩りを行う場合、比較的持久力があり、長時間獲物を追いかけることが可能です。

二大ペットの一つであるイエイヌを含み、オオカミ、キツネ、タヌキなど著名な動物を含むため、当科の知名度は高いです(私見)。

[Lindblad-Toh et al. (2005)]による系統解析によれば、4つの系統(クレード)に分けることができます。

当サイトのイヌ科分類は主に[MSW3 (Wozencraft, 2005)]に従っています(*但し、当サイトではアメリカアカオオカミとイースタンウルフを独立種としています)。12の属、35~37の種が存在します。

ハイイロギツネ・クレード(gray and Island fox clade)
= ハイイロギツネ族(Tribe Urocyonini)

北米から南米北部にかけて生息しています。

ハイイロギツネ属(Urocyon)のみから成ります。

他のイヌ科動物に先駆けて分岐したグループだと考えられています。「~ギツネ」と名が付いていますが、キツネ属やアカギツネとは同じイヌ科という事以外、関係がありません。

アカギツネ型クレード(red-fox-like clade)
= キツネ族(Tribe Vulpini)

北米、アフリカ、ユーラシアに生息しています。

オオミミギツネ属(Otocyon)、タヌキ属(Nyctereutes)、キツネ属(Vulpes)の3属から成ります。

オオミミギツネ属(Genus Otocyon)

オオミミギツネ(O. megalotis)1種のみから成ります。アフリカに生息しています。その名の通り、大きな耳を持っています。

タヌキ属(Genus Nyctereutes)

タヌキ(N. procyonoides)1種のみから成ります。日本を含む東アジアに生息しています。

日本ではキツネと並んで有名な動物ですが、世界的に見ると珍しい動物です。

日本のタヌキであるホンドタヌキを独立種とする説もあります。この場合学名は(Nyctereutes viverrinus)となります。

キツネ属(Genus Vulpes)

アカギツネを始め、12種から成ります。北米、アフリカ、ユーラシアに生息しています。一般的にキツネと言えば、このグループを指すことが多いです。

アカギツネ(Vulpes vulpes)

より狭い意味では、キツネと言えば当種を指します。日本ではホンドギツネとキタキツネが生息しています。

イヌ族(Tribe Canini)

南米クレード(カニクイイヌ亜族)とオオカミ型クレード(イヌ亜族)が姉妹群である学説に基づいて設けられる分類群です。

2亜族から成ります。姉妹群はアカギツネ型クレード(キツネ族)(Vulpini)です。

南米クレード(South American clade)
= カニクイイヌ亜族(Subtribe Cerdocyonina)

南米クレードの名の通り、全種が南米に生息しています。

5の属、10の種から成ります。日本ではなじみが薄く、そのためか和名が「~オオカミ」「~イヌ」「~ギツネ」と分散しています。

オオカミ型クレード(wolf-like clade)
= イヌ亜族(Subtribe Canina)

リカオン属(Lycaon)、ドール属(Cuon)、イヌ属(Canis)の3属から成ります。

リカオン属(Genus Lycaon)

リカオン(L. pictus)1種のみから成ります。アフリカに生息しています。ハイエナに似ていることから別名ハイエナイヌとも呼ばれます。

ドール属(Genus Cuon)

ドール(C. alpinus)1種のみから成ります。アジアに生息しています。

イヌ属(Genus Canis)

[MSW3 (Wozencraft, 2005)]によれば、7種から成ります(*アメリカアカオオカミとイースタンウルフを独立種とした場合は9種となります)。北米、アフリカ、ユーラシアに生息しています(タイリクオオカミについては後述)。

アメリカアカオオカミとイースタンウルフについては、独立種とする説の他に、タイリクオオカミの亜種とする説、タイリクオオカミとコヨーテの交雑種とする説などがあります。

なお[Lindblad-Toh et al. (2005)]による系統解析によれば、イヌ属の内部にリカオンとドールが入り込んでおり、解析結果が正しければイヌ属は単系統群ではないことになります。

タイリクオオカミ(Canis lupus)

いわゆるオオカミです。但し日常用語としてのオオカミに通常ディンゴやイエイヌは含みません。北米やユーラシアに分布しています(ディンゴはオーストラリアとその周辺に分布)。

なおペットとして人気のイエイヌ(Canis lupus familiaris)は当種の1亜種で、ヒトに伴い全世界に進出しています。


解説文更新:2018年08月15日(2020年04月28日改訂)

参考




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